福岡県商工会連合会が公表した「小規模企業景気動向調査」の結果を基に、令和7年度第3四半期(2025年10月〜12月)の地域経済動向を報告致します。
1. 総況:コスト高と戦う中、年末需要が下支え
今四半期(10月~12月)の小規模企業景況は、10月に実施された最低賃金の引き上げや継続する物価高騰の影響を大きく受け、期初は全産業でDI(景気動向指数)が低下する厳しいスタートとなりました。
しかし、11月から12月にかけては「年末需要」が追い風となり、売上額や業況において回復の兆しが見られました。特に12月は、自助努力による価格転嫁や季節的な需要の取り込みにより、売上額・採算・業況の各DIが上昇に転じました。一方で、深刻な人手不足や原材料・エネルギーコストの高止まりが依然として経営の重石となっており、景況感は「一進一退」の状況が続いています。
2. 業種別動向
■ 建設業:需要は底堅いものの、採算悪化が顕著
概況:民間工事や年末に向けた工期完了案件により、受注自体は堅調に推移しました。しかし、12月には再び全指標が低下するなど、先行きへの不透明感が強まっています。
課題:資材価格の高騰に加え、深刻な人手不足による外注費の増大が採算を強く圧迫しています。改正建設業法への対応も含め、コスト管理と工期設定の適正化が急務となっています。
■ 製造業:食料品・繊維が好調も、機械金属は一服
概況:12月は食料品製造や繊維関連が季節需要を受けて大きく改善しました。10月・11月に好調だった機械金属関連は、受注の落ち着きによりDIが低下しました。
課題:エネルギーコストの負担が依然として大きく、付加価値の向上と継続的な価格転嫁の実施が持続的成長の鍵を握っています。
■ 小売業:年末商戦が寄与するも、根強い節約志向
概況:10月・11月は消費者の強い節約志向により苦戦しましたが、12月は冬物衣料や贈答品需要により売上額が持ち直しました。
課題:仕入価格の上昇分を販売価格に完全に転嫁しきれていない店舗が多く、売上の増加が必ずしも利益の改善に繋がりにくい構造が続いています。
■ サービス業:行楽・年末需要による回復
概況:11月以降、観光需要や忘年会などの季節的要因により、飲食・宿泊業を中心に景況感が改善しました。
課題:人件費の高騰が深刻であり、サービス品質を維持しながらの価格改定や、省力化投資による効率化が求められています。
3. 今後の展望と経営のポイント
第4四半期に向けては、物価高と人件費上昇の継続に加え、年度末の資金需要の高まりが予想されます。事業者の皆様には、以下の取組を重点的に検討されることを推奨いたします。
● 適切な価格転嫁と付加価値の創出
コスト増を価格に反映させる交渉力の強化と選ばれるための商品・サービス磨き
● 省力化・IT導入による生産性向上
人手不足を前提とした、デジタルツールや効率的なオペレーションの導入